恋愛セミナー7【紅葉賀】第七帖 <紅葉賀 もみじのが> あらすじ桐壺の帝は妊娠している藤壺のために宮廷で舞楽を催しました。源氏は頭の中将とともに青海波を舞い、藤壺へ思いを馳せます。あまりの美しさに藤壺は心動き、いつも読み捨てる源氏の歌に返歌します。桐壺の帝は源氏が鬼神に魅入られないよう祈祷をさせますが、弘徽殿の女御はそれがおもしろくありません。 二条の源氏の屋敷で正月を迎えた若紫はすっかり源氏に馴染んでいます。ひとつ歳をとった若紫は源氏が自分の夫であるということにも気づき始めましたが、いまだに人形遊びをする幼さも残しています。源氏は娘を育てるような気持ちで琴や書などを教えるのでした。 正妻の 葵の上は若紫のうわさを聞き、ますます心を閉ざします。葵の上のもとにめったに足を運ばない源氏を残念に思いながらも左大臣は心をこめて世話をします。桐壺の帝はそんな源氏をいさめつつよほど気に入らないのか、と理解もしています。 ふた月遅れてようやく藤壺に皇子が誕生します。あまりにも源氏に似ているので藤壺は恐ろしくなりますが、桐壺の帝は「幼いうちはみな似るのだろうか。」とただ喜びをみせます。源氏は心中、恐ろしい気持ちとうれしい気持ちが複雑に混ざり合います。 そのころ宮廷に仕えて尊敬もされている一方、かなり年配で非常に色好みな女性、源典侍がいました。源氏は興味を覚えて関係を持ちましたが、それに対抗して頭の中将までが典侍に言い寄りました。ある夜二人は典侍のもとで鉢合わせをし、ふざけて帯や袖などを引っ張りあって格闘します。翌日、お互いすまして宮廷の仕事をこなしているのをおかしく思い合います。 桐壺の帝は、藤壺を中宮(ちゅうぐう)という高い位に上げることを決めます。皇太子を生んでいる弘徽殿の女御は心おだやかになれませんが「あなたは皇后になれるのだから。」と桐壺の帝はなだめます。藤壺はさらに手が届かない存在になる一方、皇子はますます源氏に似てくるのでした。 恋愛セミナー7 1 源氏と藤壺 皇子が生まれたことでますます苦悩する二人。 2 源氏と桐壺の帝 皇子をはさみ、喜ぶ側と複雑な側。息子の行状をいさめる父。 3 桐壺の帝と藤壺 皇子誕生をひたすら喜ぶ夫と悩む妻。 4 葵の上と源氏 ますます離れてゆく夫婦。 5 源氏と左大臣 娘夫婦をなんとかとりもとうとする父。 6 若紫と源氏 だんだんと成長しつつある娘にも妻にもとれる存在と見守り育てる男。 7 源典侍と源氏 やぶれかぶれの息抜き? 8 源氏と頭の中将 青海波の舞、源典侍との関係などよくもわるくもライバル。 父の妻である義母と関係し子ども誕生が誕生する。深い縁がある女性との子どもを育てられない源氏が、若紫の教育に熱心になるのはおもしろい心理です。 藤壺が苦悩するほど源氏が悩んでいないのは、藤壺を桐壺の更衣の身代わりとして愛している父よりも、自分の方がより強く思っているという自負があるせいかもしれません。また、非常に優れている源氏を皇太子にできず、臣下にしたという桐壺の帝の感じている負い目を源氏は敏感に感じていて「何をしても許される。」という奢りもあります。 源氏の葵上の扱いに対するいさめも、父・桐壺の帝が他の女性の恨みを買って桐壺の更衣を死なせていること比べれば、という思いがあるでしょう。 藤壺が源氏と関係を持ったのは、彼女自身が引き寄せた面もあります。まわりの取次ぎがあったとはいえ、二人は何度か会っています。桐壺の帝が求める更衣の面影をいつも意識しなくてはならない藤壷は、真摯に自分そのものを愛してくれるようにみえる源氏を心の底では受け入れています。 藤壺は10代始めに桐壺の帝のもとにきました。若紫もそう。源氏はみごとに父と同じことをしているのですね。 葵の上に対しては「いつかはなんとかなる。」という正妻であることの信頼も源氏の中にはあるのです。ただ、後の帖で源氏は桐壺の帝が桐壺の更衣で踏んでしまった轍と同じような報いを受けることになります。 さて、源典侍は末摘花と同じく、ユーモラスな存在。年の頃は50代後半とされているのですが、18歳の源氏と立派に渡りあっています。対抗意識からとはいえ頭の中将まで引き寄せ「でも本命は源氏の君よ。」というあたり、二人が争う修羅場も場慣れしているところ、源氏がつれなくなったという恋の悩みを持つことそのものも、なんだかとてもうれしそうで人生を存分に楽しんでいるという感じです。 経済的にも独立しているという点も大きいかもしれませんね。 恋の悩みも修羅場も楽しむために。 源典侍は見過ごすことのできない教養と自分を美しく見せる方法を駆使し、自信に満ちています。 自分が大好きと高らかに宣言しているよう。 彼女から学ぶことはとてもたくさんあります。 ***日記に同じ内容が掲載されています。必ずお返事いたしますので、 よろしかったら日記にコメントいただけるとうれしゅうございます。 よろしくお願いいたします。*** |